ソフトウェア品質技術者資格(JCSQE)とは?

photo by ソフトウェア品質技術者資格 JCSQE|日本科学技術連盟

ソフトウェアの品質保証に携わるQAエンジニアのスキルアップとして、今回ご紹介するのがJCSQEソフトウェア品質技術者資格(以下JCSQE)である。この資格はソフトウェア技術者が品質技術を身に付け、ソフトウェアの品質が向上を実現することを目的としている。
QAエンジニアだけでなく、開発者やプロジェクトマネージャなどソフトウェアに関わるすべての方を対象とした試験となっているので、ソフトウェアに関わるエンジニアはぜひとも取得して欲しい資格である。


(2016年8月3日に追記)

JCSQE≠JSTQB

JCSQEpng
JSTQB

JCSQEと良く似た名前の資格にJSTQB認定テスト技術者資格がある。実施している法人は同じ日本科学技術連盟であるが、JSTQBは”ソフトウェアテスト”に特化した認定資格であり、JCSQEは”ソフトウェア品質”に特化した認定資格である。QAエンジニアとしてはどちらも押さえておいたほうがよいだろう。JSTQBに関しては「JSTQB認定テスト技術者資格とは?」で解説する。

ソフトウェア品質知識体系ガイド―SQuBOK Guide 第2版―

ソフトウェア品質知識体系ガイド -SQuBOK Guide-(第2版)

photo by  ソフトウェア品質知識体系ガイド -SQuBOK Guide-(第2版)

JCSQEの問題はすべて「ソフトウェア品質体系ガイド」から出題される。ソフトウェア品質に関わる内容が網羅されており、体系的にまとめられているため、必読である。ただし、本自体が大きい上に総ページ数は300ページを超えており、すべて読むのは骨が折れる。しかし、これ以外に参考書や問題集は少ないため、試験までにどれだけ読み込み、理解しているかが求められる。JCSQEのホームページにて、出題範囲について詳しく書かれたシラバスが公開されており、それを参考にしながらポイントを絞って読むと良いだろう。

初級と中級、それぞれの違い

JCSQEは初級、中級、上級の三段階のうち、初級と中級の二つのみ現在実施されている。それぞれの違いを以下にまとめた。(掲載しているデータは2016年8月現在のもの)

初級ソフトウェア品質技術者試験

試験形式 :4択式マークシート方式 出題数40問/試験時間60分
試験頻度 :年2回(東京、大阪、名古屋、福岡で開催)
受験資格 :なし
試験料  :10,800円(税込み)
平均合格率:39%(過去15回の合格者数/受験者数から)

初級とは言え、平均合格率は39%とそれほど高いわけではない。計算問題はほとんどなく、選択肢から「~最も不適切なものを選べ」、「~最も適切なものを選べ」という問題が多い。出題範囲はソフトウェア品質の基礎知識、テスト技法、レビュー技法などである。どれだけ理解すればよいかという目安が「レベル1」から「レベル5」で示されており、初級の範囲の大半は「レベル1(知っている)」、「レベル2(知識を説明できる)」に分類されている。

中級ソフトウェア品質技術者試験

試験形式 :選択式、穴埋め、記述 出題数42問/試験時間120分
試験頻度 :年1回(東京、大阪で開催)
受験資格 :なし
試験料  :16,200円(税込み)
平均合格率:13%(過去6回の合格者数/受験者数から)

中級ということもあり、平均合格率がかなり低くなっている。出題範囲は初級と同じだが、より深い理解が求められる。初級と同様に理解度の目安が示されており、「レベル3(概念と使い方がわかる)」、「レベル4(詳しく理解し応用できる)」が求められている。シラバスで指定されているキーワードはすべて内容を説明できるようにしなければならない。記述や穴埋め問題が初級から追加されており、ソフトウェア品質に関わる知識について深い理解と応用ができなければならない。

取得するメリット

この資格を企業、個人が取得するメリットをそれぞれ説明する。

企業としてのメリット

  • ソフトウェア品質に対する企業体質の強化、改善が期待できる。
  • ソフトウェア品質の考え方や手法を社内で普及できる。
  • 人事制度、資格制度とリンクさせることで、人材育成が期待できる。
  • 社外に対して、「ソフトウェア品質力」を有している人材がいることをアピールできる。

個人としてのメリット

  • ソフトウェア品質力」 を第三者(日本科学技術連盟)から認定される。
  • ソフトウェア品質体系ガイドを勉強することで、ソフトウェア品質に関する知識を高めることができる。
  • 外部に対して、専門知識を有していることを証明できる。

 勉強方法

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ソフトウェア品質体系ガイドを読む

ページ数が多いため、一人で読みきるのはかなり大変である。JCSQEを受ける人でグループを作り、進捗などを報告するなど連携すると良いだろう。特に中級は問題集などがないため、勉強方法の工夫やグループでの連携が重要である。

関連セミナーの参加や、e-ラーニングの受講

この試験を主催する日本科学技術連盟が、試験対策のセミナーを開催している。また同一の内容をe-ラーニング版で販売されている。ソフトウェア品質体系ガイドだけでは足りないという方は申し込むことを検討してみて欲しい。

模擬試験を受けてみる

Qbookというサイトで、JCSQE初級模擬試験を20問受けることができる。問題数は少ないが、試験前に一度受けてみると良いだろう。

過去に受験した方のサイトを参考にする

JCSQEを受けた人の体験談が様々なサイトに掲載されている。どのような方法で勉強しているのか調べると参考になるだろう。特に中級は情報が少なく、勉強方法が定まっていないため、合格した人の勉強方法を必ず調べるべきである。

『初級ソフトウェア品質技術者資格試験(JCSQE)問題と解説』を解く

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JCSQE唯一の問題集である。初級を受けるのであれば、これを複数回解くと良いだろう。中級を受けるのであれば、これを解くのはやや物足りないだろうが、おさらい程度にさっと読み直すのもよいだろう。

photo by 初級ソフトウェア品質技術者資格試験(JCSQE)問題と解説 第2版

まとめ

JCSQEはQAエンジニアにとって必須の資格と言って良い。平均合格率を見ても、試験はかなり難しく、初級は年2回、中級は年1回しか受けられない。早めに申し込んで、勉強計画を立てるべきである。特に中級は参考となるものが少ないため、勉強方法をいかに工夫するかが合格の鍵を握っている。


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