元号変更の落とし穴、システムへの影響は?

20167月に「天皇陛下の生前退位」が報道されてから、法の整備など準備で随分と慌ただしくなっている。これまでに例がないということもあり、政府の対応もかなり慎重なものとなっている。現在の報道では2018年末に退位され、201911日から新元号となる方向で検討されているようだ。

昭和から平成に変わったのは29年も前のことであり、エンジニアとして元号変更を経験した人はそう多くないだろう。本記事では元号変更によるシステムへの影響について考える。

元号変更が影響するシステム

私たちは普段から当たり前のように西暦と和暦の2つを使い分けている。そのためシステムも西暦と和暦のどちらも入力に対応している事が多い。元号変更はどのようなシステムに影響があるだろうか。

1.個人情報を取り扱うシステム

和暦が最も使用されているのはおそらく生年月日だろう。自分の生まれ年を聞かれた際に「昭和○年」、「平成○年」と答える人は多い。同様に個人情報を扱うシステムであれば、入力欄に和暦を採用しているシステムもある。これはショッピングサイトのように会員登録するサイトや、役所や銀行などの記録を管理するシステムに当てはまる。例えば、免許証は和暦で生年月日や交付日などが記載されているので、この免許の情報を管理するシステムは変更が確実に必要だと言える。

2.ラベル、レシートなどの日付表示に関わるシステム

日頃利用するコンビニやスーパーでは商品を買った際にはレシートが手渡される。西暦か和暦かを気にする人は少ないだろうが、これが和暦であれば変更された当日には新しい和暦が印字されていなければならない。つまり当日、自動的に切り替わるような設定が必要となる。

平成に変更された時との違い

元号変更によるシステムへの影響だが、ネットニュースではSEの不安を煽るようなタイトルの記事が多く見かけた。確かに元号を用いたシステムであれば、影響は大きいものの昭和から平成に変わった当時と比較すると、それほど悲観的になる必要はないだろう。それは以下の理由からである。

1.元号変更の予定が事前にわかっていること

昭和から平成に変わったときには、昭和天皇が突然崩御されたため、急ピッチの対応が求められた。また昭和の期間が長かったため、元号変更の経験なかったこともあり、元号変更に対する準備は万全ではなかった。そのため、エンジニアは猶予があまりない中でシステムの改修に追われることになった。

一方、今回の元号変更は事前に変更する予定が決まっているため、変更予定日までに計画を立てて現行変更への準備を進めることができる。これは前回の元号変更時と比較すれば大きなアドバンテージとなる。また、おそらく変更される元号は事前に発表されるため、元号変更前に設定することができる。しかし、仮に事前に発表されるとしてもいつごろになるのかはわかっていないため、十分な猶予が与えられるかは不明である。

2.元号変更を想定したシステムが大半であること

元号を扱うシステムであれば元号変更は予め想定しているはずである。そもそも天皇の生前退位ということ自体が前例のないことではあるものの、元号変更自体は想定してしかるべきである。突然の元号変更への対応を余儀なくされた経験がすでにあるはずであり、システムは元号変更を想定して作成されていることだろう。

3.多くのシステムが和暦の変換処理を用いていること

西暦、和暦の使い分けは人には簡単にできたとしても、そのふたつが混在するデータをそのまま扱うのはシステムにとっては無駄な負担である。そのような状況を防ぐために、多くのシステムは西暦でデータを管理している。では和暦で入力されたものをどうするかというと、自動で和暦を西暦に変換するシステムをしようして、置き換えているのだ。元号変更の対応は、この処理に変更を加えるだけで済むようになっている。これによって既存のデータへの影響はかなり小さいものとなるだろう。

まとめ

昭和から平成へ元号変更されたのは29年前だが、この時に大半のシステムは元号が次に変更されても問題無いように対応していると思われる。
しかし、29年も経てばシステムの状況も当時とは大きく変わっている環境がほとんどだろう。
このような状況で、はたして当時の対応で本当に問題ないと言いきれるだろうか。
実際に元号変更されてから問題が発生したのでは、前回の二の舞となってしまう。
このようにリアルタイムで変更が求められるようなものは、なにも元号変更ばかりではない。例を挙げるならば消費税もそのひとつである。
今現在、消費税もいつ変更されてもおかしくない状況であり、これも変更当日にはシステムに反映されていなければならず、設定漏れは許されない。
こういった、”ある日突然設定が切り替わるシステム”は問題発生時の影響が計り知れない。

少し話が脱線したが、元号変更に関しては、2019年1月1日に平成から新元号へ切り替わることが想定されている。
問題が多く発生した平成への元号変更時の二の舞とならないよう、事前に影響範囲を調べた上で、当時の問題点を参考に対応計画を考えるとよいだろう。
突発的に変更が決まった平成のときと比べれば、今はまだテストを実施する余裕があるのだから。

 

免責事項

情報の掲載には注意を払っておりますが、掲載された情報の内容の正確性については一切保証しません。また、当サイトに掲載された情報を利用・使用(閲覧、投稿、外部での再利用など全てを含む)するなどの行為に関連して生じたあらゆる損害等につきましても、理由の如何に関わらず自己責任で行う必要があります。