VMwareソリューションのクラウドサービスごとの比較とOCVSのメリット
こんにちは。Oracle Cloud Infrastructure(OCI)特集 編集部です。
今回は各種クラウドサービスで提供されているVMwareソリューションについてまとめ、OCVSが他のVMwareソリューションに比べどのような点で優れているのかを調査していきます。
VMwareソリューションは提供されているクラウドサービスごとにメリット、デメリットやできることできないことがありますので、見やすい形でご紹介できればと思います。
比較するクラウドサービスはOCI、AWS、Azure、GCPの4つになります。
また、VMwareソリューションは全世界で提供されておりますが、本ブログでは日本リージョンで利用する想定での情報をまとめます。
(本ブログは2022年4月現在の情報となります。)
章1 料金について
まず一番に気になるのは、各クラウドサービスでの料金比較ではないでしょうか。
しかし、各クラウドサービスごとに料金が発生する単位が異なっていたり、年間でまとめ買いをするほど安くなったりもするので、
単純に比較することが難しいです。
そのため、まずは各クラウドサービスにおいて最小構成のVMwareソリューションをデプロイした際のスペックを比較していきます。
なお、以下の金額は各社で提示している定価となります。
■各クラウドサービスでのVMwareソリューションの最小構成
CPU | メモリ(GB) | ストレージ(TB) | ノード数 | |
---|---|---|---|---|
OCI | 156 | 2304 | 153 | 3 |
AWS(i3.metal) | 72 | 1024 | 21.4 | 2 |
AWS(i3en.metal) | 96 | 1536 | 90 | 2 |
Azure | 108 | 2304 | 46.08 | 3 |
GCP | 108 | 2304 | 57.6 | 3 |
こうしてみるとOCVSは最小構成でデプロイするスペックが一番大きいことが分かります。
オンプレミスからの移行を考えた場合、OCVSのスペックを余らせるのはもったいないので、ある程度の規模のシステムの移行に向いているといえます。
これに対して発生する料金を以下にまとめます。
■最小構成での”月額”利用料
時間単位 | 月単位 | 1年単位 | 3年単位 | |
---|---|---|---|---|
OCI | ¥3,394,176 | ¥2,828,712 | ¥2,263,248 | ¥1,838,454 |
AWS(i3.metal) | ¥1,354,340 | – | ¥960,490 | ¥673,544 |
AWS(i3en.metal) | ¥3,295,038 | – | ¥2,460,434 | ¥1,774,155 |
Azure | ¥2,696,220 | – | ¥1,792,217 | ¥1,258,891 |
GCP | ¥2,629,298 | – | ¥2,016,354 | ¥1,533,033 |
※小数点は四捨五入で計算しています。
※各サービスのカリキュレータにより、弊社指定の条件で算出しております。
また、この金額をCPU単位で割った料金も記載します。
■CPU単位での”月額”利用料
時間単位 | 月単位 | 1年単位 | 3年単位 | |
---|---|---|---|---|
OCI | ¥21,758 | ¥18,133 | ¥14,508 | ¥11,785 |
AWS(i3.metal) | ¥18,810 | – | ¥13,340 | ¥9,355 |
AWS(i3en.metal) | ¥34,323 | – | ¥25,630 | ¥18,481 |
Azure | ¥24,965 | – | ¥16,595 | ¥11,656 |
GCP | ¥24,345 | – | ¥18,670 | ¥14,195 |
こう見るとAWSのi3.metalホストが一番安いのが分かりますが、これはストレージ量が少ないプランになります。
次いで安いのはOCIであり、ストレージ量も大幅に確保されていますので、コストパフォーマンスで考えるとOCIが1番になるかと思います。
なお、上記のように各VMwareソリューションの定価を比較してみましたが、各クラウドサービスごとの利用料の特徴も考慮する必要があります。例えば、OCIではアウトバウンド転送料金が月に10TBまで無料になりますし、AzureではVMware上に載せるサーバのWindowsライセンス料金に割引があります。お客様のシステム要件によってどのクラウドがトータルで安くなるかは異なりますので、VMwareソリューションの導入をご検討されている場合は実際に複数社で見積もりを取ってもらうのがよろしいかと思います。
続いてHCXの利用料金について比較していきます。HCXを利用するとL2延伸によってIPアドレスを変更せずに移行できたり、Bulk Migrationによる仮想マシンの一括移行が行えます。HCXは4つのクラウドサービスすべてで利用可能であり、利用料金は以下の通りとなっています。OCIはHCXを利用する場合、別途月額利用料が発生しますのでご注意ください。
■HCXの”月額”利用料
利用料 | |
---|---|
OCI | ¥175,489 |
AWS | VMwareソリューションの料金に含まれる |
Azure | VMwareソリューションの料金に含まれる |
GCP | VMwareソリューションの料金に含まれる |
章2 仕様について
VMwareソリューションの様々な仕様について、各クラウドサービスごとに比較していきます。
OCVSが他のクラウドサービスと大きく異なるのはESXiホストの管理もユーザで行えるという点です。
■ESXiホストの管理者権限
ESXiホストの管理者権限 | |
---|---|
OCI | ユーザ |
AWS | VMware社 |
Azure | Microsoft社 |
GCP | Google社 |
OCIでは顧客専有となるベアメタルインスタンスに直接ESXiホストをデプロイします。そのため、vSphereのバージョン管理や従来通りのvCenterコンソールでの操作を行うことができます。また、企業のコンプライアンスによってvSphere上の仮想マシンやデータにクラウドベンダーがアクセスできないようにするためには現状OCVSを選択する必要があります。
ESXiホストの管理をユーザにて行う分負担が大きくなると感じるかもしれませんが、ESXiホストはOCIベアメタルインスタンスで提供されますので、
OCIでの監視やバックアップ手法を利用できます。また、OCVSのデプロイはOCIコンソールから行いますが、クリック一つでオンプレミスへの接続やNATを経由した接続に必要となる設定を自動で行ってくれたりと、環境構築に便利な機能が充実しておりますので、意外と簡単にデプロイ可能です。
■vSphereバージョンの選択
ESXiホストの管理者権限をクラウドベンダーが持っている場合、vSphereバージョンもクラウドベンダー側でアップデートを行います。対してOCVSではユーザ自身でvSphereバージョンのアップデートを選択できるため、任意のバージョンでvSphere環境を構築できます。
vSphereバージョンの選択 | |
---|---|
OCI | 可能(6.5 U3/6.7 U3/7.0 U2) |
AWS | 不可 |
Azure | 不可 |
GCP | 不可 |
章3 終わりに
今回は各クラウドサービスで提供されているVMwareソリューションの比較と、OCVSのメリットについてご紹介しました。どのクラウドサービスのVMwareソリューションを選択するかは、移行するシステムや既にお使いになっているクラウドサービス等、要件によって選択肢が大きく変わってくるかと思います。
現在OCIやOracle Databaseを使っていてVMware環境のクラウド移行を検討されている方や、他のVMwareソリューションとOCVSの金額を比較されたい方はぜひ一度弊社へお問い合わせください。
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