【閑話】色んな契約形態なにが違う?~請負&準委任&派遣


 

こんにちは。

今回はちょっとEloquaの説明から離れて、当社も該当するIT企業でよく耳にする契約形態のお話をしようかと思います。

ITの契約形態。すなわち、「請負契約」「準委任契約」「労働者派遣契約」。この3つは耳にしたことがあるかと思います。
しかし、これらの違いは?と訊かれたら、そう言えばよく分からない?上手く説明できない・・・?となる方も多いのではないでしょうか。
それぞれの契約内容がどういったものか、見ていきましょう。

■請負契約

請負契約は、「発注を受けたものを完成させてお客様に納めます!」ということを約束する契約です。
発注側(顧客)は、製品が無事納品されたらOK!を出して(「検収」と言います)受注側にお金を支払います。

請負契約は民法第632条により下記の通り定められています。
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第632条(請負)
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
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その特徴から、請負契約には以下のようなポイントがあります。
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▼発注した内容の完成形がどのようなものになるか、詳細に決定しておく必要があります。
そのため要件定義がとても重要です。
▼受注側は、仕事を完遂させる義務があります。このため受注側から一方的に契約を破棄することはできません。
▼「仕事の完成=納品したものに問題がないこと」であるため、もし問題(民法では「瑕疵」と言います)があれば、発注側は受注側に無償で修正させるか、損害賠償請求を行うことが可能です(「瑕疵担保責任」と言います)。
▼発注側には指揮命令権はありません。そのため、例えば開発を行っている技術者に指示をしたり評価したりといったことはできません。
▼報酬は仕事が完成してはじめて支払われます。早く完成できればその分お得である反面、完成までお金を貰えないのは厳しい!という企業には難しい契約でもあります。
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■準委任契約

準委任契約は、「任せられた仕事を処理していきます!」ということを約束する契約です。
請負契約と違って、何かが完成したらゴールではありません。発注側に依頼されて、仕事をこなすサービスを提供するという形です。

準委任契約は民法第656条により定められています。なお民法第656条は第643条の委任についての規定に準用するという内容ですので、以下に双方の条文を掲載します。
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民法(委任)第643条
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

民法(準委任)第656条
この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。
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その特徴から、準委任契約には以下のようなポイントがあります。
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▼どのような仕事を、どのように処理するか、期間はどうするか、などを取り決めておく必要があります。
▼報酬は一定期間ごとや工数単位で支払われることが前提になります。
▼発注側には指揮命令権はありません(請負の場合と同様)。
▼受注側に仕事を完了させる義務はありません。しかし、受注側には委託された業務を処理できるスキルがあるという前提があり、「職業や専門家としての能力、社会的地位などから考えて通常期待される注意義務」が存在します。これを「善管注意義務」と言い、民法第644条により定められています。
このため、ゴールがないからと言って業務をいい加減にやったり、見込みほど業務をこなせない場合は債務不履行責任を問われる可能性があります。
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■労働者派遣契約

派遣契約は、労働者を発注側に派遣するための契約です。これまでお話してきた契約形態とは異なり、発注側に指揮命令権が存在します。
派遣された労働者は発注側に指示を受けながら業務に従事することになります。

労働者派遣契約は労働者派遣法により下記の通り定められています。
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労働者派遣法 第一章 総則 第二条(用語の意義)
一 労働者派遣 自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする。
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■まとめ

各契約形態の特徴を表にまとめると以下のようになります。

特徴 請負契約 準委任契約 労働者派遣契約
提供するもの 成果物 作業時間 労働力
指揮命令権の所在 受注側 受注側 発注側
成果物の完成義務 あり なし なし
瑕疵担保責任 あり なし なし
報酬支払時期 検収後(成果物完了後) 一定期間ごと 一定期間ごと
既定のある法律 民法 民法 労働者派遣法

経済産業省では情報サービス・システム取引に係る契約についてモデル取引・契約書を策定、公開しています。
合わせて参考にしてみてください。
経済産業省/産業構造・市場取引の可視化
(上記リンクの「産業構造・市場取引の可視化」の項参照)